うつ病と言われました。どんな病気?

2022/4/12 最終更新

人は誰でも、悲しいことや辛いこと、苦しいことがあれば、落ち込みふさぎ込んでしまいますが、それは自然な心理です。
心の病気と呼ばれるうつ病では、落ち込みの程度が著しく、他にも多様な症状があらわれます。

  • うつ病の症状について

    ※イメージ写真です

    悲しい、寂しい、気分が晴れないといった抑うつ状態や、これまで楽しめていた娯楽などへの興味が失われたり、何もする気が起きない、などといった気分の変調がみられます。

    食欲や睡眠にも影響があります。集中力がなくなり、考えがまとまらない、という思考力の低下が生じることもあります。

    重症になると、自分には生きている価値がない、などと頭をよぎり、時には自殺を考えることもあります。
    このような症状が2週間以上にわたり、ほぼ毎日続く場合は、うつ病の可能性が考えられるため、早めの受診をお勧めします。

  • うつ病は誰でもかかる可能性がある

    うつ病は決して珍しい病気ではありません。厚生労働省のホームページを参照すると「平成8年は43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数が、平成29年には127.6万人と21年間で2.9倍に増加」とあります。(出典:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/nation/dyp.html

     

    ホームページにもあるように、うつ病を主訴に病院を受診する人の数は多くなく、潜在的なうつ病患者の数はもっと多いと考えられるでしょう。では、なぜ、つらい病を抱えながら、受診を拒むケースが多いのでしょうか。

    一つには、いまだに根強く残る精神疾患への偏見や思い込みというのがあるのかもしれません。うつ病は、たとえば、血液検査で異常がみられるというようなわかりやすい疾患ではありません。

    気力をなくし、集中力が低下し、職場でも思うように仕事ができない、という場合、理解のない環境であると「サボってる」「怠けている」と評価されることもあるでしょう。本人も活発に動けていたときの自分と比べ、自責の念に駆られるかもしれません。

    このような場合、自分はうつ病である、と自覚し、すすんで受診されることは稀です。不眠や食欲の低下、身体的な症状などあらわれて初めて、自分は病気ではないかと思いいたるのです。

  • 大切なのは早期発見・早期治療、そして、うつ病への理解

    どのような疾患にも言えることですが、肝心なのは早期発見、早期治療です。

     

    うつ病も無理を重ね、重症化してからでは回復するのに時間がかかります。しかし、先述したように、目に見えて不調がわかる病ではないため、本人も周囲も発見が遅れるというのも実情ではないでしょうか。このような実情は日本の社会にとっても、何より、うつ病を患った方にとっても決してよいものとは言えないでしょう。

     

    早くに治療を受け、早くに回復する。そのためには、うつ病に対する理解を一層深める必要があります。誰もが、互いの異変に気づけるくらいになるのが理想でしょう。

     

    あなたの毎日は楽しみや笑顔で満ちあふれたものでしょうか。興味を持てること、好奇心を掻き立てられることはありますか。

    もし、そのような幸福感を得ることができず、ただただ日々を辛く感じているなら、それはこころが発しているSOSかもしれません。

     

    うつ病は、うまく付き合いながら、働き続けることも可能な病気です。そのためには早期発見、早期治療を心がけ、症状が軽いうちに受診しましょう。

    あなたの充実した生活を守るのは、もちろん周囲の協力も欠かせませんが、他でもない、あなた自身の力が不可欠です。

藤澤 佳澄
執筆:藤澤 佳澄
執筆:藤澤 佳澄
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程単位取得退学。大阪大学非常勤講師をはじめ、各種教育機関で教鞭をとる。 メンタルクリニックにて十年弱心理職として従事。「体験型ワークで学ぶ教育相談」(大阪大学出版会)一部執筆。現在は特定非営利活動法人Rodinaの研究所にて、リワークを広く知ってもらうための研究や活動をおこなう。