復職しても、また休職してしまう

2022/4/12 最終更新

日々のしんどさは当たり前で、疲れていない日のほうがまれ。それでも、何とか業務をこなすことはできていた。仕事の能率は上がらなかったけれど、仕方がないものと考えていた。このようなビジネスパーソンは多いかもしれません。

昨日まではそれで何とかやり過ごしてこれていたのが、ある日突然動けなくなる。出社できなくなり、休職せざるを得なくなる。こんな状況に遭遇したら、あなたはどうしますか?

そして、なぜ、こんな状況になるまで、あなたは無理を続けなければならなかったのでしょう?

  • 休職は目に見えないしんどさがある

    ※イメージ写真です

    ここでは「症状が重い」というのは、入院が必要な程度、周囲の方が片時も目が離せない程度だと考えてください。

    そして、そのような状況にまでなれば、周囲にもしんどさは伝わりやすいのかもしれません。

    しかし、症状が出ている間は、その重症度にかかわらず、日常生活を送るのもつらいということに変わりはありません。そのため、会社を休むという選択が必要になるわけです。

    ただ、一般的に想像されるよりはずっと健康に見える方が多いかもしれません。

    こころの変調は、数値化したり、目に見えてわかるものではありません。それがメンタルヘルスの難しさでもあります。

     

    ですので、休職した方が身近にいる場合は、まず目に見えないしんどさへの配慮をお願いしたいと思います。
    また休職した方ご自身も、自分のしんどさに目を向けていただく必要があることを強調してお伝えしたいと思います。

  • 休職を繰り返さないために

    休職に至る経緯は多種多様ですが、休職した方にも、その方なりの要因があるはずです。

    職場に適応できなかった
    仕事の量が多すぎた
    対人関係でトラブルがあった


    など、外面的な理由で説明するのは比較的に容易です。ですが、休職に至った理由は本当にそれだけで説明がつくのでしょうか。

    過去のつらい状況やトラブルは去ったとしても、次に同じような状況やトラブルにぶつかったとき、今度は休職しないと自信を持っていえるでしょうか。

     

    休職を繰り返さないために非常に重要なのは、このような自信です。
    そして、この自信は「休職した自分自身」と真摯に向き合うことによって生まれてくるものなのです。

     

    逆に言えば、漫然と休職期間を過ごすだけでは、自信を身につけることはできません。つまり、休職した自分自身の内面的な要因にも目を向ける必要があるということです。

  • 自分自身を振り返り、事前準備しよう

    休職期間をどのように過ごすかにつながっていきますが、もちろん、まずは疲弊しきった心身をいやしていただくことが最も大切です。

    また「なぜ自分はこのような精神的な不調をきたすまで疲れてしまったのだろう」と、休職しはじめた当時の自分と向き合うこともとても大切です。

     

    過重労働になってしまった自分自身。そこには、キャパシティを超えても頑張りすぎてしまうという自分の性格が関係していないだろうか。
    仕事を押し付けられたとき、断るのが苦手という対人関係のパターンが存在していないだろうか。


    このように、自分の内面的な問題を見つめなおし整理しておくことで、次にトラブルに出くわしたときの対処法を身につけておくことができます。

    自分がトラブルに陥りやすいパターンなどを理解し、あらかじめ防衛策を準備するとよいでしょう。

    もし、一度ならず二度三度と休職を繰り返してしまう場合は、このような準備がきちんと整えられていたか、振り返って考えてみてください。実はこの部分が、目には見えない精神的な健康のカギになるともいえるからです。

藤澤 佳澄
執筆:藤澤 佳澄
執筆:藤澤 佳澄
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程単位取得退学。大阪大学非常勤講師をはじめ、各種教育機関で教鞭をとる。 メンタルクリニックにて十年弱心理職として従事。「体験型ワークで学ぶ教育相談」(大阪大学出版会)一部執筆。現在は特定非営利活動法人Rodinaの研究所にて、リワークを広く知ってもらうための研究や活動をおこなう。