睡眠リズムとは、体内時計に基づいて規則正しく睡眠と覚醒を繰り返すことを指します。睡眠リズムについては今まであまり意識をされていないという方も多いのではないでしょうか。しかし睡眠リズムは実は身体にとって非常に重要な機能を司っています。睡眠リズムは、ただ単に昼間に起きて夜間に眠るということだけを担っているのではありません。ホルモンや体温など身体の様々な機能を同調させるのにも重要な役割を担っています。そのため睡眠リズムが崩れると、同時にホルモンや体温など様々な身体の機能がうまく協調することができなくなり、結果として身体的にも精神的にも大きな負荷がかかります。この状態を内的脱同調と呼びます。
体内時計は日中の活動に合わせて活動をしやすくなるように、そのタイミングを調整する機能があります。しかし、その調整速度は非常に遅く、日中の活動に合わせて体内時計が完全に調整されるのには、1~3週間程度の時間がかかると言われています。そのため細かいリズムの調整は非常に困難です。これに関して多くの方が経験したことのある睡眠リズム障害として『ソーシャルジェットラグ』が知られています。これは平日と休日で起床時刻が異なる(例えば仕事のある日は6時に起きるが、休日は9時に起きるといったもの)ことを指します。平日の疲れを休日に癒すために積極的におこなっていた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は睡眠医学の観点からはこれは大きな問題です。休日のたびに3時間の時差ボケが生じていることと同じであり、常に内的脱同調が生じ疲れがかえって取れない状態となってしまいます。
では、どのように休養を取るのがいいのでしょうか。それは起床の時刻を一定に保つことです。体内時計は、日光を浴びることでそのリズムを調整します。そのため起床の時刻を一定に保ち、それでもまだ眠い時は入眠時刻を早めるようにしてください。また現代は、遮光カーテンや高く密集した建物の影響で朝方に光を浴びることが難しくなり、逆に夜は多くの光を簡単に浴びることができるなど、睡眠リズムにとっては非常に悪い条件が重なっています。そのため光を調整し内的脱同調を減らすことは、現代で生きる上で非常に重要です。具体的には意識的に夕方から夜間に浴びる光を減らす(夜は部屋の明かりを弱める、携帯電話やPC、テレビの使用時間を減らす)。朝方に光を積極的に浴びる(カーテンを完全に閉めない、屋外の明かりに合わせて起床前から点灯する照明、起床後に部屋全体を明るくする、午前中の散歩など)。このような工夫により身体への負荷を軽減することができます。
正しい睡眠についてまとめ
6~8時間程度(かつ日中に眠気のない程度)の睡眠時間を確保する
朝の起床時刻を一定に保つ
適切に光を調整する(夜間の光を減らし、朝方に浴びる光を増やす)